マルコ福音書3章の6節にイエスが愛息日に手の萎えた人を癒す奇跡を行った後に次のような記述があります。「ファリサイ派の人は出ていき、イエスのことについて,どのようになきものにしようかと、ただちにヘロデ党の人たちと協議を始めた」イエスは、たびたびファリサイ派や律法学士の者たちに対して、その偽善的な有様を批判されました。そのためイエスの公生活の早い時期から、イエスを抹殺しようという動きがありました。ファリサイ派の人たちとヘロデ党の人たちは、普段仲がよくなかったのですが、イエスを邪魔者と思う点では利害が一致していました。そこで、彼らの間でイエスの抹殺の相談をしたというのもうなずけるところです。
今日の福音の中でカイアファの預言が記されていますが、カイアファ自身はイエスについての敵意からそのようなことをいったのではなく、神からの預言として述べたのです。しかし、奇しくもそれは、ファリサイ派の人々の思惑に合致したのです。イエスは御父のみ旨を受け入れ、十字架に向かわれるのです。人間にははかり知ることのできない神のなさりかたの神秘がうかがわれるようです。
鈴木英史
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