エマオに向かう二人の弟子は道で一人の旅人に出会う。二人は、彼から聖書の言葉を聞くとき心が燃え始め、パンを割いて渡されたとき、目が開けて、旅人がイエスだと分かった。二人は時を移さずエルサレムに引き返し、弟子たちの集まっているところに戻る。「先生は生きておられる」、これが二人の第一声だった。けれども弟子たちは半信半疑だった。そこへイエスが現れて「あなたたちに平安があるように」と言われる。喜びのあまりまだ信じきれない彼らに、イエスは焼いた魚を食べてみせられて、彼らを納得させられた。
イエスは弟子たちの心を開いたうえで、「あなたたちは全世界に行って、私の復活の証人となりなさい」と仰せになった。これはイエスの弟子たちへの命令である。この言葉を受けて、弟子たちは世界に福音を告げに散っていったのである。彼らの宣教のお陰で、今日、私たちも信仰の恵みをいただいている。
ところでイエスの命令は使徒にだけ向けられたのではない。そこにはクレオパともう一人の弟子もいた。聖地にエマオと呼ばれる教会があるが、そこの壁画に、この出現の物語が描かれている。よく見るともう一人の弟子は女性である。イエスを家に迎え入れたと書かれているから、この二人は夫婦であったかも知れない。それはともかくとしてイエスの宣教の命令は、司教・司祭だけでなく、すべての信徒に向けられている。これは信徒の役割についての貴重な資料である。
耿介sdb
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