金持ちの青年の話の続きです。前の箇所で青年はイエスに対して永遠の命を受け継ぐには、どうすればよいかを質問します。これは言い換えるならば、本当の幸せを手にするためには、どうすればよいかということです。つまり青年は、豊かに富を得ていても、幸せではなかったということです。
しかし、この青年は人生を真剣に生きていました。それはイエスへの質問からも分かるように基本的な掟をしっかりと守っていたからです。現代の多くの青年と比べてもはるかに真面目に人生を歩んでいた人と言えるかもしれません。この青年に対して、イエスは「持ち物を売り払い。貧しい人に施しなさい。それから私に従いなさい」と導かれます。しかし彼は悲しみながら去っていきました。
人間の幸せとは何か。永遠の命を得る。青年もそれを求めていましたが、追求しようとは考えていなかったと思います。それは自分のすべてをかけて求めていくべきものですが、富を手放せない心があった彼はそれができなかったからです。
私たちも本当の幸せを手にするために、すべてをかけているでしょうか。「らくだが針の穴を通る方がまだ易しい」というイエスの厳しい言葉は、多くの人が片手間で幸せが得られると考えているからではないでしょうか。
後半のペトロたちの「このとおり、私たちは何もかも捨ててあなたに従ってまいりました」という言葉に対して、イエスは永遠の命の約束をしています。確かにペトロたちは、自分の命をかけてまでも最後までイエスに従っていきます。彼らの生き方は、私たちに足りないものが何かを教えてくれています。それは「覚悟」というものです。
イエスのために失うもの、捨てなければいけないものが必ず私たちにも出てくると思います。そのときにそれを手放す覚悟をつねに私たちは持っていなければならないということです。
NICCHI
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