4つの福音書の中で一番初めに書かれたのはマルコ福音書です。西暦60年代後半にまとめられたこの福音書は16章の短い福音書で、聖書の始めの言葉は「神の子イエス・キリストの福音の初め」となっています。この<福音>という言葉は、“よろこびの知らせ”という意味です。
一方、80年代に書かれたルカ福音書は喜びの福音書といわれるほど“よろこび”を強調しています。今日の箇所でも14節と19節に、喜ぶとか喜ばしいという言葉が出てまいります。この喜びの言葉を聞いているのはザカリアという祭司です。
本来喜ばしいメッセージを「まさか」と信じきれなかったザカリアの立場には同情の余地がある、と思うのは人情というものでしょう。しかし、信じなかった結果として与えられたのは、10ケ月の間話すことができないという現実。罰のようなものを受けるはめになるのです。しかし、10ケ月間の沈黙という辛く長い月日の間、ザカリアはあれこれ思い巡らし祈ったに違いないのです。その結果、長い沈黙の後、口から発した第一声は「ほむべきかなBenedictus」という言葉だったのです。
話すことも、しゃべることもよい事、大事なこと。しかし、沈黙すること、思い巡らすことは、神への賛美への近道であり、よろこびと感謝への近道であることを思い起こしたいものです。
M.M.Joseph
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