「わたしが神の指で悪霊を追い出しているのであれば、神の国はあなたたちのところに来ているのだ。」
復活祭を準備する四旬節も半ばを迎えている。四旬節を迎えると断食、苦行、節制、犠牲などと、あまり歓迎したくないような言葉が飛びかいがちである。そして、実際にそうしたことを実行しているキリスト者が大勢いることと思う。
しかし、断食、苦行、節制をし、犠牲を捧げたとしても、その人がすぐ傍の人をないがしろにしたり、その人の必要を知りながらも応えなかったりしたとすれば、その断食などの行為にはどんな意味があるだろうか。
「神の国はあなたたちのところに来ている」、確かにそうだと思う。四旬節中には回心という言葉も盛んにつかわれる。そして、実際に生き方を180度方向転換する人とか、心を神に向け直す人がいる。素晴らしいことだと思う。しかし、もう一つ足りない。それは、エンジン(モーター)が回転することによって車が走るように、心を回転させるということである。
イエス・キリストの大きな魅力は、福音をことばに止めることなく行動でも福音を説いたということである。多くの言葉を口にするよりキリストのように福音を生きる者になりたい。たとえ、苦しみがあったとしてもイエス・キリストとともにその苦しみを背負って生きる者は、イエス・キリストの復活にも与る者となることを信じて。
濱口秀昭
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