ルカは福音記者の中でも特にエルサレムにこだわりました。ルカはエルサレムを地上の中心と考えていましたが、単にエルサレムをユダヤ人の神殿がある場所のある聖地として考えたのではなく、イエスというまことのいけにえが献げられる地、イエスの死と復活によって建てられる新しいエルサレムの象徴と考えていました。
さて、福音書の4割にあたる10章を費やして描いたイエスのエルサレムへの旅は終わり、いよいよエルサレムでの出来事がこれから展開されていくことになります。実はルカ福音書が書かれた頃には、すでにエルサレムが破壊されていましたから、今日の福音の箇所はいわゆる事後予告ということになります。しかし、私たちはイエスの涙に注目しましょう。イエスはエルサレムのために泣かれます。つまり、それは回心への呼びかけに応えない私たちのために泣かれるのです。この涙を見つめ、そしてこれからエルサレムで起こる出来事をしっかり見つめ黙想するとき、私たちの方が回心と喜びの涙を流すことになります。
YS
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