キリストがおん父に遣わされたように、私たちも世に使わされていますが、それは大変なことだと今日の福音の言葉で持って教わります。それは「狼の群れに羊を送り込むようなものだ」ということではありますが、恐れてはなりません。世の強さと教会の弱さの対立はキリストが身をもって絶えず見せてくださった対立であり、救いにたどり着く対立の道であります。
イスラエル人は強さや権力をもって勝利を収める救い主を俟っていたようですが、キリストは弱さ、貧しさ、柔和を生き抜きながら救いの道を示してくださいました。キリストのこの姿は教会の姿であり、世に遣わされている私たちの姿でもなければなりませ。ところが違った姿を持ちながら世と妥協するという誘惑は、最初から教会にずっとあったのではないでしょうか。しかし、権力と富を持てば持つほど、それだけ教会や私たちはキリストの姿から離れて行き、キリストの力ではなく自分の力で動き、必ず世の狼に負けてしまいます。
神の子羊キリストのように、私たちも弱い羊である限り、世に憎まれても、「蛇のように賢く、鳩のように素直に」最後まで耐え忍ぶことができ、自分と人の救いを得、遣わされたものとしての使命を果たすことができるのです。
Achille Loro Piana
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