今日の福音は、マルコ独特のイエス描写が印象的です。「イエスは怒って人々を見回し、彼らのかたくなな心を悲しみながら・・・」イエスは怒りを感じています。そして怒りのこもったまなざしで人々を見回します。「イエスが怒るのはちょっと都合が悪い・・・」と思われる方もいらっしゃると思いますが、イエスも怒るのです。では、何に対して怒ったのか。人々のかたくなな心に対して。
では、かたくなさとは何か。人々のかたくなさとは、恐らくこういうことではないかと思います。人々も、ファリサイ派の人々も、ヘロデ派の人々も、イエスの問い「安息日に律法で許されているのは、善を行うことか、悪を行うことか。命を救うことか、殺すことか。」に対する答えを知っているのです。もちろん、善を行うことであり、命を救うことです。こんなことは誰でも分かる。しかし、彼らは「黙っていた。」イエスを陥れるために。彼らの中にはそれ以外の思いはありません。片手が萎えて何年も辛い思いをしてきた人のことは眼中にありません。いや、むしろ、その人の辛い人生を利用してイエスを試し、陥れようとしているのです。イエスの怒りはこの心のかたくなさに向けられていると考えられます。
私たちの心の動きに、似たようなことはないかどうか、もう一度反省したいものです。
John Goto
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